「当たり前」と「あえて」の差は、別次元。

日常

昔の当たり前が、今はわからなくなっている。

今日は北品川の歯医者さんまで歩いて行きました。
45分くらいです。
往復したので90分。
あえて非効率なことも良いですね。
いつもは通らない道で向かったのですが、6年以上はお会いしていない方と会えました。
一方的にですが。
目が合った瞬間は「アレ~?」って感じで気づかなかったのですが、すれ違ってから、「アッ!!」っと名前も思い出しました。
あえて追って声をかけるようなことはしませんでしたが、元気そうで良かった。
ずっと通ってくれていた方なので。
嬉しかったです。
「どうしているかなぁ」と思い出すことは何度かあったので。

帰り道、「今からこの下を天皇皇后両陛下を乗せた新幹線が通過するのでちょっとだけ待っててください」と通行止めにあいました。
思わぬところで、過去最接近することができました。
新幹線も見えたし、なんか良かった(^^ゞ

歯医者の度に歩いています。
電車に乗れば時間は半分で済みますが、なんか歩くのが良い。
歩くことにしあわせを感じることすらある。
ただそれも「あえて」歩いているに過ぎないのであり、「必要があって」ではない。
昔の人と比べたら極端に歩く必要がなくなった。
故に、人は脚を失ったに等しい。
床に座ることもほとんどなくなった。
脚を折り畳むということが生活の中にはない。
椅子は、脚の感覚をいらなくした。
デスクワーク中に、骨盤から下の感覚などほぼいりませんから。
正座を数分するだけでシビレるのは、それだけ日頃脚に意識が向かないからです。
長時間のデスクワークで脚がむくんで帰りがツライのも、「ちょっとは意識向けてよ」という下肢からの訴えです。

「私は毎日走っているから脚力に自信があります。」
そういう人もいるでしょうけども、あえてしていることと、生活上必要があってしていることの身体的意味は別物です。
藤田一照氏と光岡英稔氏の著書で、「米一俵が60㎏だったのは、普通の成人はそれくらい持てるのが当たり前だったからだ」とあります。
ふつうのおばちゃんが当たり前のように60㎏を担いでいた時代がある。
今60㎏を担いで数キロも歩けるだろうか。
私は無理です。
オオゼキで買い物して、ビールやペットボトルが多いだけでヒーヒー言っている。
それだって10㎏もないでしょう。
今は、「筋トレすれば持てるだろう」という発想が生まれそうですが、ふつうのおばちゃんたちは筋トレなどしていません。
ただただ、60㎏を運ぶことが生活上当たり前だったから、当たり前にやっていたのです。
これが、我々にはわからないわけです。
ちなみに本には、300㎏分の米俵を担いでいるおばちゃんの写真が載ってます(-_-;)

インドに行った時に似たような体験がありました。
私と同じ背格好のポーターさんが、サンダルで足場の悪い山道を、私たちの水50ℓ分を担いで一人で運んでいました。
それで私たちより、歩くのが早いのだから恐れ入る。
彼はマッチョでもなんでもない。
別に筋トレなどしていないだろう。
ただ生活上「必要があって」備わった力なのです。
生活で備わる力と、筋トレであえてつける力は別物です。
以下、言い分はあるでしょうけども、そういう一面があることは事実として。

筋トレはただただ身体を肉化する。
使い勝手の悪い、鈍感な身体、肉の塊をつくるに過ぎない。
ヨーガを始めてから私はそう感じています。
そんなことよりも、雨の中を歩けば身体的感受性は高まる。
物に溢れ、物質至上主義の蔓延する社会的価値感は、身体そのものにも及んでいるように感じます。
たしかに筋トレをすればあらゆることが手っ取り早いのかもしれませんが。
その手っ取り早い便利さ故に失うことが多いのも事実だろう。
肉も大切だが、身を大切にしたい。

【この2冊がお薦めです。私の中では特に「退歩のススメ」はことあるごとに手に取ってしまう稀有な本です(^^ゞ】

便利ゆえに失っていることも多々あることに気づきます。

便利さは、不便さだけを生み落として終わる。

執行草舟氏の「生くる」に出てくる一文です。
エレベーターは便利だが、壊れた瞬間に不便極まりないものとなる。
脚が失われているのだからそれはキツイだろう。
今はエレベーターなどあって当然のものですから、そもそも便利とすら感じないのが我々の感覚ですよね。

光岡氏の言う、「身体的ジェネレーションギャップ」はこれから益々深まる一方であるように思う。

P.S.
今日はカフェでいろいろと思いを巡らせることができました。

良い時間でした(^_-)-☆

水20リットルでも超ツライ。
当たり前の力、恐るべしです。

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toru-imizu

関節エステプロフェッショナルアカデミー代表の射水徹です。

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